FPが解説!NISAと変額保険、どっちが正解?

SNSでは「保険で運用なんて損。」「入る必要がない」「NISAの方がお得」といった意見を目にします。しかし実際は、どちらにもメリットとデメリットがあります。本記事ではNISAと変額保険の特徴をわかりやすく比較しながら、「自分に合った選び方」について解説します。保険で資産形成するのは本当に悪いことなのか?この記事を参考に、ご自身に合った選択肢を見つけていただければと思います。

NISAと変額保険が比較される背景

投資初心者からベテランまで、多くの人が気になる資産運用の話題。SNS上では、「保険を使って運用するのは損」「変額保険よりNISAを使った方が得」といった声をよく見かけるようになりました。

なぜこんなにもその2つが比較されるのでしょうか?それは、NISAも変額保険も「将来のお金を増やしたい」というニーズに応える手段として利用されるからです。一方で、保険はもともと”保障”がメインの商品。運用効率を追求するNISAとは目指す方向が違うともいえます。

本記事では、この背景を踏まえながら、NISAと変額保険の特徴や注意点をひとつひとつ整理していきます。

保険で運用するのは本当に損?SNS上で否定的な理由

1. 手数料・コスト面の不利

変額保険は、保険会社が運用する「特別勘定」に投資しながら、死亡保障などの保険機能も提供する仕組みです。投資信託を購入する場合に比べ、保険会社の運営コストや保険料が上乗せされるため、トータルの費用が割高になります。このコスト構造が、「保険で運用するのは非効率」という批判の大きな理由です。

2. 解約リスクの高さ

保険には、契約して一定期間内に解約すると返戻金が大幅に減るペナルティ(解約控除)が設けられていることが多いです。万が一、資金が必要になっても容易に取り崩せない点は投資信託や株式投資と比べて不便でしょう。こうした流動性の低さも、SNS上で「変額保険はやめておけ」という声が出る要因です。

NISAに潜む意外な落とし穴

1. 投資先選びの難しさ

NISAは投資で得た利益や配当金が非課税になる制度であり、非常に魅力的ですが、当然「どの銘柄・ファンドを選ぶか」という投資判断は自分自身で行わなくてはなりません。初心者ほど、流行りの銘柄に飛びついて損を出しやすい一面もあるため、「非課税だから安心」というわけではないのです。

2. 制度変更への対応

NISA制度は2024年に新NISAとして大幅に改正され、現在は恒久化されています。しかし、過去には何度も制度変更が行われており、将来的にも税制や制度内容の見直しが行われる可能性は完全には否定できません。長期投資を前提とする場合は、こうした制度変更リスクも考慮しておく必要があります。

変額保険ならではのメリットは?

1. 死亡保障・相続対策

変額保険は”保険”のため、万が一のときには家族が死亡保険金を受け取ることができます。解約返戻金は運用実績によって上下しますが、死亡保険金については多くの商品で最低保証額が設定されており、確実な保障を持つことができます。また保険金は相続時に受取人固有の財産となるため、相続対策の一環としても活用可能です。

2. 強制的な長期投資になりやすい

先ほど伝えた通り、変額保険には解約控除というペナルティがあります。それゆえに、「簡単に資金を引き出せない=逆に長期投資を継続しやすい」といえるでしょう。”投資は長期運用が前提”ということが頭ではわかっていても、投資初心者にありがちな”感情的な売買で失敗するリスク”を減らせるといえます。

3. 払込免除により、もしものときにも運用を継続できる

ここが変額保険の真骨頂ともいえるポイントです。変額保険には大きな病気(たとえば三大疾病や高度障害状態など)にかかった場合、保険料の払込が免除になる特約が付帯している商品が数多くあります。

NISAでの投資は、自分自身が定期的に投資資金を拠出することが前提です。万一働けなくなって収入が途絶えれば、投資を継続しにくくなるかもしれません。

一方、変額保険で払込免除特約をつけておけば、以後の保険料は免除されながらも、契約は継続されます。つまり、自分で支払いができなくなっても積立も運用も止まらない安心感が得られるのです。

この仕組みは「働けなくなるリスクを想定しながらも、将来の資産形成を続けたい」というニーズに応える、とても大きなメリットでしょう。

NISAを選ぶか、変額保険を選ぶか。目的別の選び方

1. 保障も資産形成も両立させたいなら変額保険

「自分に万一のことがあっても家族を守りたい」「相続対策として保険を生かしたい」など、保障の必要性が高い人は変額保険を検討する価値があります。

また、病気やケガが原因で働けなくなったとしても、運用を続けられる仕組みは非常に心強いです。自分に何かあっても将来の資産が育つ可能性を維持できるのは、他の運用商品にはない特徴です。

2. 純粋に投資効率を優先するならNISA

同じ運用商品でも、変額保険とNISAで購入した場合とでは、運用利益に大きく差が出ます。保障よりもリターンを最大限得たい場合は、NISAで運用をした方がよいでしょう。変額保険に比べて投資先の選択肢もたくさんありますし、なにより非課税枠を使えることはとても魅力的です。

どちらを選ぶかは、「自分に必要な機能は何か」を見極めることが大切

NISAと変額保険、それぞれを選ぶ最大のポイントは「何を優先するか」です。NISAは運用効率や自由度が高く、税制優遇も魅力的です。しかし、投資先選びや制度変更のリスク、そして自分で拠出を継続しなければならないハードルがあります。一方、変額保険は手数料負担や解約リスクがあるものの、万が一の際に保険料の払込が免除されても運用が継続できる仕組みや、死亡保障・相続対策など「保険ならでは」の機能が備わっています。

「運用を最優先したいのか」「自分が払えなくなっても資産形成を止めたくないのか」「家族への保障を重視したいのか」、それぞれのライフプランやリスク許容度に応じて、どの機能が自分に必要なのかを一度整理してみることが大切です。

保険と投資はどちらが”絶対にいい”というものではなく、重要なのは自分自身にフィットする選択肢を見つけることです。SNSの情報に振り回されるのではなく、メリット・デメリットを冷静に比較しながら、必要に応じて専門家に相談して判断を進めるのがベストでしょう。

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