2025年も食品の値上げが私たちの生活を圧迫しています。2024年を上回る勢いで、様々な食品の価格が上昇しており、家計への負担は増すばかりです。この値上げの背景と、世界的に見ると日本の賃金がどれほど低いのかを、具体的に見ていきましょう。
値上げの波は止まらない
2024年の猛暑や干ばつ、続くウクライナ情勢の影響を受け、すでに多くの食品が値上げされました。しかし、2025年もその波は止まることなく、むしろ加速しています。帝国データバンクの調査によると、2025年全体で15,000~20,000品目の値上げが見込まれており、これは2024年を上回る規模です。特に1月から4月にかけては、6,000品目が値上げ予定で、平均値上げ率は18%と、前年比で6割増という驚異的なペースです。
具体的にどのようなものが値上げされているのでしょうか。
- 1月:パン製品
山崎製パン、フジパン、Pasco、第一パンなど、大手パンメーカーが一斉に食パン、菓子パン、和洋菓子などを値上げしました。原材料の高騰、人件費や物流費の上昇などが理由とされています。 - 2月:小麦粉加工品、菓子類、コーヒー類
天ぷら粉やお好み焼き粉などの小麦粉加工品、菓子類、コーヒー類の値上げが予定されています。日清製粉、昭和産業、ニップンといった大手メーカーも家庭用小麦粉などを値上げしています。 - その他
包装米飯、缶詰、冷凍食品、麺類、調味料、菓子など、幅広い食品が値上げされています。はごろもフーズ、テーブルマーク、マルハニチロ、シマダヤ、永谷園、森永製菓、江崎グリコ、ネスレ日本など、多くのメーカーが値上げを発表しています。
コーヒー豆は、世界的な需要の高まりと不作、円安の影響で約50年ぶりの高値となっており、コーヒー製品の値上げにつながっています。このように、様々な食品が値上げされているため、家計への負担は深刻です。
OECD加盟国平均を大きく下回る日本の賃金
2024年は33年ぶりに大企業の賃上げが5%を超えるなど、明るいニュースもありました。中小企業でも平均3.2%の賃上げが実現し、全体として賃上げの機運が高まっています。しかし、物価上昇のスピードが賃上げを上回っているため、実質賃金はマイナスとなっています。
OECD(国際協力開発機構)の調査によると、1991年から2022年までの間、世界平均の賃金は33%上昇したのに対し、日本の平均賃金はわずか3%の上昇にとどまっています。2022年のOECD加盟38カ国の平均年収は約582万円(1ドル=109円で計算)であるのに対し、日本の平均年収は約452万円と、130万円も低い結果となっています。順位も38カ国中25位と低迷しています。
| OECD平均年間賃金 | $53,416≈¥5,820,000 |
| 日本の平均年間賃金 | $41,509≈¥4,520,000 |
※為替レートの変動により、実際の円換算額は変動する可能性があります。
アメリカの平均年収は約810万円と、日本との差はさらに大きく開いています。日本の大手企業の賃金が多少上昇しても、物価高騰の中では生活は楽になりません。真面目に働いても、それに見合う賃金を得られていないと感じている人が多いのではないでしょうか。
まとめ
2025年も続く食品の値上げは、家計に大きな負担となっています。世界的に見ると日本の賃金は低く、物価上昇に追いついていない状況です。この状況を改善するためには、以下のような対策が求められます:
- 政府による物価高騰対策の強化(補助金制度の拡充、税制面での支援など)
- 企業の生産性向上支援と、その成果の賃金への還元
- 中小企業の賃上げ支援策の拡充
- デジタル化による業務効率化の推進
- 労働市場の流動性を高め、賃金上昇につながる環境整備
これらの施策を総合的に進めることで、世界との賃金格差を縮小し、国民の生活水準の向上を図ることが急務となっています。
