2024年から始まった新NISA。非課税期間の無期限化や投資枠の拡大など、魅力的な制度改正によって利用者が急増しています。しかし、将来の不安の一つとして「認知症」への備えは万全でしょうか? 独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、5人に1人が認知症になるとされています。
新NISAで積み立てた大切な資産も、認知症になるとアクセスが困難になる可能性があります。今回は、そのリスクと対策について詳しく解説します。
新NISAの落とし穴:認知症になるとどうなる?
NISA利用者が認知症と診断された場合、金融機関は口座を凍結する可能性があります。これは、判断能力が低下した顧客の資産を守るための措置です。口座が凍結されると、本人や家族であってもお金を引き出せなくなり、定期預金の解約や株式の売買もできなくなります。
金融機関が認知症に気づくタイミング
- 家族からの相談: 家族が本人の認知症を金融機関に相談した場合、口座が凍結されることがあります。
- 窓口での言動: 窓口での言動や行動から、銀行員が判断能力の低下に気づくケースがあります。例えば、通帳や印鑑の紛失、同じ質問の繰り返しなどが挙げられます。
- 不審な取引: 詐欺や家族による不正な出金など、不審な取引履歴が確認された場合も、金融機関は認知症を疑う可能性があります。
認知症発症後の対処法:法定後見制度
認知症で口座が凍結された場合、お金を引き出すには「法定後見制度」を利用するしかありません。これは、家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人に代わって財産管理を行う制度です。
法定後見制度の注意点
- 手続きに時間がかかる: 家庭裁判所への申し立てが必要なため、利用開始まで1~4ヶ月程度かかります。
- 途中で解約できない: 本人の判断能力が回復しない限り、原則として途中で解約できません。
- 後見人選任の制限: 後見人は家庭裁判所が選任し、必ずしも家族が選ばれるとは限りません。多くの場合、司法書士や弁護士などの専門家が選任され、報酬の支払いが必要になります (月額2~6万円程度)。
このように、法定後見制度は利用にあたり費用や時間的な負担がかかることを理解しておく必要があります。
事前の対策:任意後見制度と家族信託
口座凍結を避けるためには、事前の対策が重要です。以下、二つの有効な手段を紹介します。
- 任意後見制度: 本人が判断能力のあるうちに、将来認知症になった場合に備えて、後見人となる人物を指定しておく制度です。公正証書による契約が必要で、任意後見監督人の選任と報酬の支払いが必要になります。
- 家族信託: 信頼できる家族に財産管理を託す制度です。信託契約の内容は柔軟に設定でき、裁判所の手続きも不要なため、比較的低コストで済みます。
保険も有効な選択肢
認知症対策として、保険を活用する方法もあります。指定代理請求特約付きの保険に加入すれば、認知症になった場合でも、指定された代理人が保険金を受け取ることができます。資産運用型の変額保険であれば、NISAのように投資を行いながら、認知症対策も同時に進めることができます。
まとめ
今からできる対策
- 現状の確認
- 保有している金融資産の把握
- 家族との情報共有
- 対策の検討
- 任意後見制度
- 家族信託
- 保険活用
- 定期的な見直し
- 年1回程度の家族との話し合い
- 必要に応じた対策の調整
新NISAは魅力的な投資制度ですが、認知症のリスクも考慮しておく必要があります。法定後見制度は最後の手段であり、手続きや費用負担が伴います。任意後見制度や家族信託、保険などを活用し、早めの対策を行うことで、将来の不安を軽減し、安心して資産運用を続けることができるでしょう。